お試しカノジョ
「……やらかした感満載だ」
その後、帰宅してベッドにダイブした。
今思い出しても腹が立つ、あの男。
ギュッとシーツを握り締めて眉間にしわを寄せる。
「ハッ!こうしちゃいられん!」
急いで起き上がり、机の上に置いていたスマホを取り出して電話をかける。
3コールすると、電話の相手が出た。
『もしもし?』
「あ、歩美?」
『うん、なに?』
本当は折原のダメなところをヘラ男から聞き出して、その情報を歩美に伝えようとしていたのだが。
それも多分もう無理だろう。
あいつと2度と話したくないし、向こうも気まずくて話しかけないと思う。
「あ、のさ……あー…」
もうヘラ男と縁を切ったからね!
そう言おうとして口を噤んだ。
縁ってなに?私とあいつはそんな関係じゃないよね。
じゃあなに?何を言えばいいんだろう。
言葉を発さない私に、歩美は自分も話があると言った。
「話…?」
『うん、あのね、前から言おうと思ってたんだけどタイミングがなかったら』
「うん?」
なんだろう。
学校でも話せたと思うんだけど、そんなにタイミングがなかったのかな。
ベッドに横になりながら歩美の話に耳を傾ける。
『彼氏、できた』
「…………………………はい?」