お試しカノジョ
通話終了と書かれた画面をぼんやり眺めながら、放心状態になる。
なんで、なんで。
その言葉だけが頭の中でリピートされ、変な汗も出てきた。
歩美は、私がずっと守ってきたんだ。
いつも変な虫がつかないように、害虫に睨みをきかせていた。
親同士が親友で、生まれた時から歩美と一緒だった。
なのに、いきなり現れた男に持っていかれた。
私の今までの苦労はなんだったの?
なんで歩美はそんな奴がいいの?
なんで、なんで?
「なんでだよぉ…っ」
もう、訳が分からない。
この日はずっと泣き続け、翌朝、目が赤くなり酷いことになっていた。