お試しカノジョ
……は、は?
「な、なに言って……」
「んー?」
無視を決め込んでいた私だが、ヘラ男の
悍ましい言葉により引き戻された。
「変な冗談やめてよ!!」
「なんで冗談だと思うの?」
「だ、だって!」
だって…ヘラ男絶対私のこと嫌いでしょ。
好きとかそんなのありえないし。
それに、嘘の彼女するときも面白い人と
付き合いたいとか言ってたし。
それにそれに、こいつ遊び人じゃん!!
信用できん!
「最初は俺も面白半分で付き合ってたんだけど」
「付き合ってない!世に言う彼氏彼女ではない」
「まあ、途中から完全に惚れました」
真剣な表情をしながら私を見つめる
ヘラ男。
見たこともない真剣さだったので、思わず顔を逸らした。
「ねえ、俺のことそんなに嫌い?」
「……」
俯いていたら、ヘラ男は私の頬を両手で
挟み、ヘラ男の顔が視界いっぱいに
広がっている。
「や、や、や、や………っ!」
「ん?」
顔に熱が集中する。
それが好きだからか嫌いだから、かは
自分でも良く分からなかった。
けど
「やめんかいっ!!!!!」
「ぐはっ…!」
羞恥であったことだけは、わかってる。