お試しカノジョ
「な、なんでもない!」
「本当に?」
「本当に!!」
「なら、いい」
なに、これ。
なに、これ!
私は歩美に相談をしにきたの…っ。
ヘラ男のことを言いにきたの…っ。
なのになんで言えないんだ私!!
「…夏子?なんか変」
「えっ」
「顔、赤い。あとさっきから表情がころころ変わってる」
「そそそそんなことないっ」
「…ふうん」
両手をブンブンと振って否定する。
それでもなにか疑いの目を向ける歩美。
私は居心地が悪くなったので顔を隠すように読書を始めた。