お試しカノジョ
「俺、今は面白い子と付き合いたいんだよねー」
だからお前のことなんて知らないし興味ないんだってば。
ここからすぐ立ち去りたい。
「なんなら1番目のカノジョにしてあげるからさ。今は面白い人優先だから」
あげるから、ってなに。
何でこの人は上から目線なの?
「は?あんたタラシなわけ、キモい」
「あ、俺に興味もってくれた?」
「バカ?そんなわけないじゃん。勘違いも甚だしい、キモい」
「キモいが口癖なの?」
「あんたに教える義理はない」
ヘラ男はその辺りにあった机に腰かけ、またニコリと笑った。
もうヘラ男でいいや、こいつ。
なんか厨二っぽい渾名になってしまったが。
聞いた名前も、もう忘れてしまったし。
「あ、もしかして他の女とは縁切れってこと?独占欲強い人?」
「なにも聞いてない、てかお前と話すこと自体やめたい」
「んー、じゃあ仕方ないかな。付き合ってくれるなら、今のカノジョ全員と別れてあげる」
パチッとウインクされたが、鳥肌が再び立っただけだった。
しかも、別れてあげるって、どんだけ上から目線?
そんなことしなくても男と付き合うつもりは皆無。
てか、カノジョ全員ってどんだけ女いるの?
いや、興味ないけど。そんなことこれっぽっちも興味ないけど。