お試しカノジョ
「あっ、西本さん」
「河嶋くん?」
「うん。来てくれたんだ」
体育館裏に行くと、手紙の送り主である河嶋くんしかいなかった。
顔も見たことないし、名前も聞いたことない。
手紙を読んで初めてその存在を知った程度。
「その、手紙に書いた通りなんだけど」
「うん」
ぽりぽりと頭を掻きながら、
俯く河嶋くん。
サッカー部にでも所属してそうな顔。
まあまあモテそうなのに。
なんで私なんだろ。
「俺、西本さんが好きだ」
「ありがとう」
「できたら、つ、付き合ってください」
「…」
以前は、誰かに教室で告白されたな。
その時はあいての気持ち無視で軽くフッたんだけど。
私が、恋をしたからか。
「男嫌いだから」なんて軽くフれない。
私がもし、告白する側ならそんなこと言われると傷つく。
ヘラ男に言われたら、私は立ち直れるだろうか。
「西本さん…?」
「…ごめん。私、今好きな人がいる」
「…そっか」