お試しカノジョ
勢いよく後ろを振り返る。
そしてその人物を見て驚愕した。
顎が外れそうだ。
「夏子ちゃん、俺のこと好きなの?」
「なっ、なっ、なっ、なっ!!!」
「いやー、奇遇だね」
相変わらずヘラヘラと笑っているヘラ男。
私は瞬きするのも忘れ目を見開く。
「名前言ってくれたの2回目だっけ?
どうせなら下の名前で…」
奴が言い終わる前に私はその場からダッシュした。
河嶋くんのことなんてすっかり忘れ、
恥ずかしさで涙を浮かべて、
校門に向かってがむしゃらに走った。