お試しカノジョ
顔だけじゃなく、全身が火照るように感じた。
「ねえ、俺のこと好きなんでしょ?」
「だっ、誰がお前なんか!!」
聞かれた、聞かれた、聞かれた!!!
なんであんなとこにいたのよっ!
最悪最悪っ!!
今日の私、運勢きっと最下位よ!!!
占い、朝見てくればよかった…!
「へえ、違うの?」
「あたっ、当たり前でしょ!
そもそも私は男が嫌いなんだから!!」
それと、この状況は何!?
抱きつかれてるこの状況!!
見られてるから!チラチラ見てるから!
教科書は置き勉してあるから、カバンの中はスッカスカ。
だからヘラ男と私の間は、ぺしゃんこのカバンだけ。
「じゃあこれは何かな〜?」
そう言って取り出したのは、スマホ。
私のではない。ヘラ男のだ。
私は疑問符を頭に浮かべながら、
ヘラ男が見せてくるスマホを見る。
『ごめん。私、今好きな人がいる』
『誰か、聞いてもいい?』
『…………伊藤』