お試しカノジョ
「で、どう?」
「どうもこうも嫌って言ってんでしょ。耳腐ってんの?腐ってんのね」
「ねえねえ、嫌いならさ。拒否反応とかでないの?」
「出てんでしょ、現在進行形で」
「じゃなくてさ、こう…ビクビクオドオドというかさ」
なぜか興味津々に聞いてくるヘラ男に舌打ちする。
なにこいつ。ほんとなに。なんなの?
「キモいまじキモい。妄想ヤローか」
「えー、教えてよ」
そう言って腕を掴み、「ねえ」とニッコリスマイルをしながら近づくヘラ男。
私は頭のてっぺんから爪先にかけてゾワッとしたものを感じた。
「.......い、い、いっ!」
「ん?なにー?」
顔を覗き込むヘラ男。
腕を離さないヘラ男。
ヘラ男との距離、約15cm。
「いぎゃあああああああああああ!!キモいキモいキモいぃぃぃぃ!!」
「うわっ………ぐふぅっ!」
その後のことは詳しく覚えてない。
とにかく男に腕を掴まれた挙句、
至近距離に顔があったことで自然に拳が、その無駄に整っている顔にめり込んだ。
私が覚えているのはそこまでだった。