お試しカノジョ


「夏子ちゃんは?」

「…わ、たし」

「うん」





私は…男なんて、嫌いだ。





「男なんて、すぐに嘘つくし。女の子の嫌がることばっかりする」

「…うん」

「小学生のときから、男は大嫌い」





小学生のとき。


私には好きな男の子がいた。


好きで好きで、勇気を振り絞って人生初の告白をした。


しかしその翌日、私が告白した男の子はそのことを言いふらし、その日から男子にからかわれるようになった。


きっかけはこれだけ。今思えば、男子もガキだったなと思うが、当時の私にとっては大ダメージだった。


幻滅した。


男とは、こんなにも女の子の気持ちを考えない。


人の勇気を笑いものにするんだ、と。




「女の子の気持ちなんてこれっぽっちも理解してないし。だから男なんて大嫌いっ!」





半泣きになりながら叫ぶ私の頭を、ヘラ男はポンポンと撫でる。



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