お試しカノジョ

「俺は、嘘なんて吐かないよ」

「…」

「女の子の嫌がることもしたことないし」

「…」

「俺は男だから、女の子の気持ちを全て理解できるわけじゃない」

「…」

「でも、夏子ちゃんが理解してって言うなら、精一杯努力するよ」





分かってる。



ヘラ男はタラシだけど、でもそれは女の子も同意の上でそういうことをしていた。



そういう遊びは無理やりではしないし、女の子の方も拒否すればヘラ男は手を出さない。



嫌がることもしなかった。



これは私だけの見解ではなく、当の女の子たちも言っていた。




「夏子ちゃん、俺のこと好き?嫌い?」




いつもヘラヘラしてる。



無駄に整った顔だけが自慢のヤツだと思い込んでた。



だから拒否した。



悪口もたくさん吐いた。





それでも





近寄ってきたのがヘラ男じゃなかったら、私はあそこまで関わってなかったのかもしれない。






私は……








私は…………っ、









「…す、すき」


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