お試しカノジョ
幼稚園のときからの幼馴染がいる。
見た目も可愛くて、中身も良い。
なにかあったら助けてくれるし、優しい。
「嫌、絶対嫌。キモすぎて死ぬ」
でも、その幼馴染__夏子は男の人が嫌いだ。
伊藤くんと折原くんとお昼を共にしているこのときも、しかめっ面ばかりしてる。
そして今まさに、男である伊藤くんの「あーん」を夏子がされるかもしれない状況。
夏子…。
すごく嫌そう。
「折原くん」
わたしは隣で楽しそうにしている折原くんに声をかけた。
すると折原くんはこっちを振り向く。
その可愛い顔とクリっとした瞳にわたしはノックアウト。
「楓でいいよぉ、歩美ちゃん」
ふんわりと微笑む折原くんにわたしは胸がきゅんとなった。
歩美ちゃん。
夏子とは違う声で呼ばれたので、顔も真っ赤になった。
「か、か、楓…くん」
「うん。なにー?」
今まで夏子が、わたしと男の子の接触を妨害していた。
別に男の子なんてどうでもよかったし、
夏子には迷惑かけたと思うけど。
おり……楓くんとの仲だけは妨害されたくない。
本当に、本当に、夏子には申し訳ないけれど。