お試しカノジョ


「夏子は男が苦手だから、そういうことはできない」

「えぇ!?そうなのぉ?」




うん、と頷く。


夏子は大人になるまで恋愛ができないと思う。


男嫌いを直さないと。




「歩美ちゃん」

「うん?」




伊藤くんと夏子ははしゃぎながらぎゃいぎゃい言い争っている。


楓くんはわたしの耳にコソッと言った。




「今日の放課後、空いてる?」

「うん」

「じょあちょっと話したいことがあるからさ、終わったら僕のクラスに来て?」

「分かった」




話したいこと…。


楓くんがわたしに…わたしだけに…。


そう思うとまたまた胸がきゅんとなった。
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