お試しカノジョ

「結構前から好きなんだよねぇ」

「え、と」



勘違いだったら恥ずかしいし、


わたしのことが好きなの?


とは言えない。




「でも歩美ちゃん、全然こっち向いてくれないんだもぉん」

「わたしっ?」

「そうだよぉ。僕ずーっと見てたんだからね!」




ずーっと?


わたしの方がずーっと見てたんだよ。




「だからねぇ、女の子取っ替え引っ替えしたら噂を聞き付けて

僕のところに来てくれるんじゃないかなかなぁ、と思って」




それは、わたしの中で選択肢になかった。


だって見てるだけで良かったんだから。




「でもさぁ、それって僕に興味持ってくれてなかったら無理な話なんだよねぇ」




遠くを見つめて話す楓くんに、わたしは耳まで真っ赤にする。


も、もしかしてこれって告白かな。


< 96 / 132 >

この作品をシェア

pagetop