お試しカノジョ
「僕、歩美ちゃんのことが好きだよ」
「…っ!」
初めて、男の人から言われた。
好きな人から言われると、こうも嬉しいものなのね。
心臓の音がうるさくて、楓くんにバレてしまいそう。
顔が熱い。
「顔、熱いねぇ」
「そっ、それは…!」
「それは、なに?」
咄嗟に言った言葉。
楓くんはその言葉を追求する。
「ねえ、その続き教えてよ」
「そ、れは…」
熱い。窓を開けたい。風に涼みたい。
「なんで顔が熱いの?
なんで緊張してるの?」
「かえでく…」
「ねえ、その続きは僕に言えないようなことなのぉ?」
ずるい、ずるい。
その顔は絶対分かってる顔だ。
わたしの気持ちも、全部全部。