ピッキング・カルテット
テーブルのうえに紙袋の中身が並べられる。

おにぎり、サンドイッチ、弁当、コンビニスイーツ、スナック菓子…食べ物だけでもかなりの量である。

コーヒー、牛乳、紅茶、お茶、ジュース…メーカーまで分けられているから、テーブルはあっと言う間に埋まってしまった。

「あの…遭難でもするんですか?」

そう聞いた桑田に、
「そうなんです」

本山がオヤジギャクで返した。

瑛太と桑田は理解に苦しむしか他がなかった。

「あれ、ナナコちゃんは?」

荒畑が夏々子の存在に気づいた。

「ああ…」

瑛太は桑田に視線を向けた。

――俺が言うのかよ!?

――ヤスくん、なっちゃんに電話してたでしょ!

桑田は負けたと言うように息を吐くと、
「昨日の夜から彼女と連絡がつかないんです」

荒畑に言った。
< 124 / 538 >

この作品をシェア

pagetop