ピッキング・カルテット
本山は喫茶店である人物を待っていた。

「お久しぶりです」

その声に視線を向けると、胸のところまで伸ばした茶色の髪の女だった。

女は本山の向かいの椅子に腰を下ろした。

「15年ぶりの再会を喜びたいところだが…」

本山はテーブルのうえに投げるように週刊誌を置いた。

「楢崎千恵美。

シラタマの記事を書いたのは、お前だな?」

そう言った本山に女――楢崎千恵美は切れ長の目を見開いた。

「自分を捨てた、シラタマへの恨みか?」

質問を投げた本山に、千恵美は首を横に振った。
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