ピッキング・カルテット
マスコミの目を上手にかいくぐって向かった先は、夏々子の自宅だった。

「何これ…」

桑田は幽霊でも見たように呟いた。

「俺、こんなとこ一生住めねーわ…」

瑛太は呆れたように呟いた。

夏々子の自宅は、高級マンションの最上階だった。

「最上階が３５階って、バチが当たりそうで怖いわ…」

桑田は両手で頭を抱えている。

「僕の所有地なんだ」

宗助が言った。

「所有地！？」

瑛太と桑田の声がそろって聞き返した。

「もう訳わかんなくなってきた…」

瑛太は頭が痛いと言うように指でこめかみを押さえた。

「事務所がマスコミの視界に入っているから事件が解決するまで入れないけど、なっちゃんの自宅…と言うよりもこのマンション自体は世間に公表していない。

一時的ではあるが、なっちゃんの自宅を『ピッキング・カルテット』の基地にする」

宗助が言った。
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