ピッキング・カルテット
宗助は夏々子の顔を覗き込むと、
「今まで15年間、僕のそばにいてくれてありがとうって言う感謝の気持ち…と、これからもよろしくって」

その言葉に、夏々子は目を伏せた。

「――あたしも…」

夏々子は目をあげて宗助を見ると、
「あたしも、ありがとう…って」

15年前のバレンタインデーに宗助と出会わなかったら、自分は今どうなっていたのだろうか?

宗助に出会えたから、今の自分がここにいるのだ。

宗助に出会えたから、隣で笑うことができるのだ。

「これからも、僕のそばにいてくれるか?」

そう聞いた宗助に、
「――はい…!」

夏々子は笑顔で返事をした。
< 218 / 538 >

この作品をシェア

pagetop