ピッキング・カルテット

――７月某日、都内レコーディングスタジオにて。

ソファーに座って曲のアレンジを考えている宗助と彼の隣で昼寝をしている夏々子がいた。

宗助はかけていた眼鏡を外すと、自分の太ももを枕代わりにしている夏々子に視線を向けた。

「何か…また１段と明るくなってないか？」

１月の終わり、夏々子は髪を金色に染めた。

人は髪１つで印象が変わると言うが、まさにその通りだと思う。

今までは髪型を変えるだけだったので、印象によっては大人っぽく見えたり、子供っぽく見えたり…と言う程度だった。

それが髪の色を変えたら、
「何だか、なっちゃんじゃないみたいだな…」

自分の隣で昼寝をしている彼女は、夏々子によく似た偽者なのではないかと疑ってしまった。