ピッキング・カルテット
「烏山が脅していた人物はなっちゃん以外にも他にいるはずだ。

そう言うヤツらがタバコの火の不始末と見せかけて彼を殺したと考えた方がいい」

そう言った宗助に、
「でも仮に殺人事件だったとしても、どうやって犯人を探すって言うんですか?

芸能人にもマスコミにも烏山の敵はたくさんいますよ?

何より、世間だってただの火事だって報道しているじゃないですか」

桑田が言い返した。

「あたしたちが烏山をターゲットにしたとたんに、何者かが先回りをして烏山を火事に見せかけて殺害した――確かに、でき過ぎているような気がするわね」

夏々子は呟くように言った。

瑛太はカップを持つと、ミントティーをすすった。

宗助は窓の外に視線を向けた。

8月がもうすぐそこまできている。
< 254 / 538 >

この作品をシェア

pagetop