ピッキング・カルテット
「ああ、もちろんだ」

そう答えた浮橋に、
「だったら、調べることができないかな?」

宗助は言った。

「えっ…」

浮橋は戸惑ったが、
「まあ、何年も待つって言うんだったら…」
と、呟くように言った。

「もちろん、何年だって待ってやるさ。

金だっていくらでも払う」

宗助は笑いながら言うと、ウーロン茶を口に含んだ。

絶対にミュージシャンになれるとは限らない。

なれたとしても、絶対に有名になれるとは限らない。

だけど、父親に会えないのは嫌だった。

例え時間とお金がかかったとしても、父親を見つけ出そうと思った。
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