ピッキング・カルテット
その日から、宗助は夜の仕事を持つようになった。

昼は人気ロックバンド・BIRDMENのマネージャーを務め、夜はピッキング活動をする。

(お父さんが泥棒だったなら、もしかしたらどこかで会えるかも知れない)

悪行によって金銭を貯め込んだ金持ちから窃盗を働き、盗んだ金品財宝は世の中の貧しい人たちに救済する。

父親もそうだったように。

いつか父親に会えると信じながら。


それから4年の月日が流れて、宗助は28歳になった。

宗助は当時大学生だった千恵美と婚約をしていた。

出会いは、彼女がアルバイトとして働いていた居酒屋である。

本日の仕事が終わり、BIRDMENと一緒に飲みに出かけた時のこと。

店員の千恵美に酔っ払った本山が絡み、それを宗助がかばったことがきっかけだった。
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