ピッキング・カルテット
復讐を果たすための準備を始めた。

勤務していた事務所を退職し、住んでいたマンションから出た。

それまで使っていた携帯電話を確約すると、誰にも何も言わないで旅立った。

バンドの基礎は全て学んだ。

マネージャーとしての仕事も理解した。

事務所から支払われた退職金は、新しい事務所を設立するためのお金として使おう。

バンドを作って、真木と同じ地位…あるいはそれ以上の地位になったら、父親の仇を打ちに行こう。

そのためにはメンバーが必要だ。

ソロとしてデビューすることも考えたが、自分はフロントマンとして、時には彼らの下で活躍するのがよく似合っていると思った。

と言うよりも、そっちの方がなれている。

まだ幼かった夏々子に出会い、瑛太に出会い、桑田に出会い、デビューを果たした。

長い年月をかけ、日本を代表するバンドの地位を手に入れた。

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