ピッキング・カルテット
「ノブオ、まだその2人が犯人だと決まった訳じゃないわよ」

そう言った夏々子に、
「それくらいわかってるよ。

って言うか、犯人じゃなくて容疑者って言ったんだけど」

桑田はムッとしたように言い返した。

宗助は考えていた。

(昨日のあの女は、一体何者だったんだ…?)

通夜だと言うのに、彼女は白いワンピースで参列していた。

関係者だったら、東にお焼香の1つや2つくらいあげていただろう。

そもそも、お焼香をあげる前だったのか後だったのか…。

自分が声をかけたら、彼女は逃げて行ってしまったけど。

「ソウちゃん?」

夏々子に声をかけられ、宗助は我に返った。

「何か思うことがあったんですか?」

そう聞いた瑛太に、
「――実はな…」

宗助は昨日の出来事を話した。
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