ピッキング・カルテット
その瞬間、私はなんてことをしてしまったんだと思いました。

1度は愛したこの人を、殺してしまった。

私は花瓶を隠すと、風呂場に主人の遺体を運びました。

もし主人の関係者や警察が遺体を発見しても、“風呂場で足を滑らせて頭を打った”と思うかも知れないと思ったんです。

風呂場に主人の遺体を運んだ後、私はその場から立ち去りました。

だけど…翌日のニュースを見て、驚きました。

主人はピッキング・カルテットと言う窃盗集団に殺害されたと、報道されていたんです。

彼らは関係がないのに…。

何の関係もないのに…。

なのに、世間は主人が彼らに殺害されたと思っている。

その事実に、私はただただ震えるばかりでした…。

 * * *
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