呪い屋〜呪われし幽霊少女〜
苦しめばいい
無理やり2人を押し出してドアを閉める。
「…クソっ…」
チェーンをかけ、そのまま拳をドアに打ち付けた。
「クソ…」
なんでこんな体でいなければならない。
そして、なんで麗奈に真実を明かした…
自分が単に自殺したんだと勘違いされ続けるのには我慢ならなかった。
別れ際の、麗奈の涙が溢れそうな目が頭から離れない。
麗奈が3歳だったあの頃…
学校以外の時はずっと一緒にいた。
「麗薇お姉ちゃん!」
今でも、そう呼ぶ声が聞こえてくるようで。
ずっかり大人になった麗奈を見た時、胸が張り裂けそうになった。
でも…
麗奈は自分のことを覚えていなかった。
名前を告げた時やっと、ハッとした顔をした。
「私のお姉ちゃん…?」
母親を呪ってほしいと言った時の歪んだ顔のまま問いかけてきたのを覚えている。
情が移ってしまってはまずいと思い、遠ざけた。
なるべく必要な時以外は関わらないようにした。
しかし…
最初こそ嫌悪感の塊のように接してきた麗奈も、徐々に変わっていった。
私に、姉としての影を感じ取るようになった。
それが…
あの男に会ってから、ますます強くなった。
あの、藤堂 汰一という奴に出会ってから。