呪い屋〜呪われし幽霊少女〜
「あいつ…今からあの妙な男に会いに行くんだろ…?」
眩しい太陽に目を細め、さりげなく麗奈の肩を抱いたまま言う。
「心配だよ…
またああやってお姉ちゃんが苦しむなんて思ったら心配だよ…」
変わらず涙を流し続ける麗奈。
見てられなかった。
「でもね…
一つだけ、嬉しいことあるんだよ」
涙に濡れた顔を必死でぬぐい、わずかに笑顔を見せてくれる。
「お姉ちゃんって呼べるの。
麗薇が、お姉ちゃんって呼ばせてくれるの」
そう言って、また新たな涙がこぼれた。
こいつは…
こんなことだけでいいのか。
これだけで幸せなのか。
今頃麗薇は、あの男に会いに行っているんだろう。
それを思ったら、麗奈の辛い気持ちなんて…
考えたくもなかった。
だから、思わず…
「麗奈」
そう呼んで…
その濡れた顔に、静かにキスした。