呪い屋〜呪われし幽霊少女〜

唇と唇を合わせるだけの、軽いキス。

お互いの温もりを味わった後、静かに離れていく…

「た…汰一くん…?」

いつもより細かい瞬きをした後、麗奈が信じられないといった様子で問いかけてくる。

「汰一くん…?」

なんでこんなことをしたのかわからなかった。

ただなんとなく…

…つい?

いや、放っておけなかった。

あまりにも辛そうで。

俺まで悲しくなった。

でもなんて言っていいかわからなくて…

気づいたら体が勝手に動いていた。

俺たちを丸こげにしたいかのような太陽に照らされ、ますます何を言っていいのかわからなくなった俺はただ焦る。

「…わりぃ」

俺の横で固まっている麗奈の方をわずかに見て、いっぱいいっぱいになりながらも謝る。

麗奈の頬は少し、赤く染まっていた。
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