呪い屋〜呪われし幽霊少女〜
「なんだ?
あぁ...そういうことか」
俺のことはやはり見えていないのか、まるで透かすように遠くの方に視線が向いている黒田。
何で見えないんだ。
俺はこんなにもヒヤヒヤと、今にも心臓が口から出てきそうだってのに、なんで見えてないんだ。
「そこにいるのは契約者かい?
それならちょっと面白いことになるんだけどね」
明らかに俺ではないところに視線を定めつつも、ニヤリと笑う男。
「一緒に来てもらえないかな。
俺には君たちが見えないからねぇ...
引っ張っていくわけにもいかないし」
黒い笑顔を見せるそいつ。
笑顔が、なんだか気持ち悪い。
俺の肌にベトベトとつくようなニヤつき方。
それに反応するように、ブルッと身震いをする。
「あの...れ、麗薇は...」
そう言葉を発してから、あ、と気づく。
この男には聞こえない。
俺が何を言っても、無駄なんだ。