呪い屋〜呪われし幽霊少女〜
「なんなんだよ、ここ…」
本当に無なのだ。
うまく説明はできないけど、とにかく空っぽな感じ…
そして、俺が住んでいる世界とは切り離されたような雰囲気…
「ここねー…
俺の住処?」
なんで疑問形なんだ?
聞きたいのはこっちだ、と目で訴える。
「心配しなくても今からなんとなくわかるって…
ま、ここが俺の充電場所…みたいなね」
そう言って、とっても楽しそうに笑った。
小さな子供が、おもちゃやお菓子を与えられた時のような…
あの笑顔。
でもその男は…
「ねぇ、麗奈ちゃん?」
たしかに、そう言ったんだ。
機嫌良さそうに。
「麗奈…?」
麗奈って、あの麗奈か。
あの、岩崎麗奈か。
疑問で頭がごちゃごちゃになっているところで…
カツン、カツン、とどこからともなく音がする。
この部屋からではない。
明らかに、この部屋から近いどこかから。
高いヒールを履いた足音のような。