呪い屋〜呪われし幽霊少女〜
「嘘だろ!
誰が麗薇置いて逃げれるかよ!
無理に決まってんじゃねぇかよ!」
どっかで聞いたようなセリフ。
でも、本気でそう思った。
それしか、頭になかった。
「わかるでしょう?
いいえ...わかってください...
こんな状態じゃ、逃げれるはずないんです...」
はぁ、はぁと肩で息をしながらも、なんとか微笑んで見せる麗薇。
麗薇は、いつだってそうなんだな。
そうやって、優しいままでしかいられないんだな。
「時にはその優しさだって邪魔になるんだよ!」
そう言って、麗薇の腰と首の後ろに手を回し、抱き上げた。
お姫様抱っこだってなんだっていい!
絶対、麗薇と抜け出すんだ!
そう思ってまた前を向いて駆け出そうとしたその時。
「っつ、いって!」
かっこ悪いことに、何かにつまずいて転げた。