呪い屋〜呪われし幽霊少女〜
「なんて居心地の悪いお姫様抱っこだ…」
苦しさをそっちのけにして、ぶつくさと言う麗薇。
それを越えた先にあるのは…
「麗奈…」
どうやっているのかはわからないのだが、俺らが走っている道の脇に座っているのだ。
プランプランと足を揺らしながら、それはそれは優しい微笑みで。
さっき会った時とは違う雰囲気で。
でも…
「や…言うなよ…
黒田に言うなよ…?」
今見つかったら確実に殺されるという恐怖の方が勝つ。
しかし…
「バァーカ」
返ってきたのは、思いがけない言葉。
わけがわからなくて、どうとも返せない。
「バァーカ。
私が裏切るとでも思ってんの?」
少し乱暴な口調で、でもとっても優しく言う麗奈。
その麗奈の目から、一粒の雫が落ちる…
「行きなよ。
私、もういいから。
十分生きたから…」
ニコッと笑って、俺が行こうとする先を指差す。
「いや…行くって…」
黒田側についたんじゃなかったのか?
嘘だったって言うのか?