呪い屋〜呪われし幽霊少女〜

光は呆れながらも、なんとか俺のために口を開いてくれる。

「汰一さんはね、魂だけ、あの時に行っていたんですよ…
黒田の力でね」

黒田…

ここにも出てくるのか。

「だからね、体はずっとここにとどまってたんです。
なんのために黒田はあなたの魂をあの13年前に送って麗薇さんと麗奈さんに会わせたんだと思います?
なんのために、あの場合を体験させたんだと思います?」

光は、まるで試すかのように、俺の顔を覗き込んでくる。

「汰一さんの力を試したかったんですよ。
私がいなければ何もできない汰一さんの力を」

そう言って、クスクスとも似たような声を出した。

甲高いせいで、それが震えて聞こえる。

「俺に…力?」

「えぇ、黒田とは逆の力がね」

そう言われて、思わず自分の手を見る。

何も、変わりないと思っていた。

でも…

俺にも何かできるのか?
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