呪い屋〜呪われし幽霊少女〜
変わらない?
「あ…
汰一くん、おはよう」
控えめに笑う彼女。
決して美人ではないものの、どこか可愛らしい雰囲気が漂っていて。
いつも、このロッカーのところで挨拶をしてくる。
「あぁ、岩崎、おはよう」
別に好きとか付き合ってるとか全然そんなんじゃない。
でも、なぜかこうして毎日挨拶をするのが日課になっていた。
「…今日は…
雄介くん、ずいぶんと騒いでたね」
ふふっ、とまた軽く笑う。
「あぁ…
呪い屋がどうとかってうるさくてな」
これくらいは言ってもいいはずだ、と自分で判断する。
そもそも…
「呪い屋さんの噂、すっごい広まってるもんね」
ロッカーから今日の授業の教科書を取り出しながら、岩崎が言う。
「あぁ…」
そうなのであった。
この学校には、呪い屋の噂が至る所で飛び交っている。
もはや、知らない人などいなかった。