呪い屋〜呪われし幽霊少女〜
「…結構遠いのな」
遠回りした結果、疲れるほど歩いてしまった。
「…あんまり暗くなってからはきたくなかったのにさ…」
弱々しい俺の声が誰もいない薄暗い路地に弱々しく響く。
「しゃーねーよな」
決意を固めて、やっと見えてきた例の事務所へと足を向ける。
「っ…」
あいかわらず、にじみ出る脂汗は、俺の心をあらわにする。
その汗を震える手で無理やり拭い、また歩き出す。
階段を登り、正面へと迫る地味な入り口。
正直、そこいらのアパートの外見と全く変わらない。
隣の部屋には普通に人が住んでいるのかと目を向けるも、何かこの世のものではないものが見えてしまってはたまらないと、自然に顔を背けてしまう。