呪い屋〜呪われし幽霊少女〜

目の前にあるドアノブを、震えですっかり力の抜けてしまった指先で握る。

その時、

「…また来られたんですね」

中からあの女の声がする。

思わず飛び上がって離れるも、背後の柵に体を受け止められた。

「…またびびってるんですか?
命取りになると言ったでしょう」

そう言う女の声はいつもよりも感情が入っていて。

なんて言うか…

怒りがこもっていた。

声を出せないほど腰が抜けてしまった俺は、情けなくも口をパクパクと開けたり閉じたりを繰り返す。

そんな俺に女は構わず、

「今日は先客がいらっしゃいましてね…
まぁ、どうぞ、お入りください」

いつの間にか落ち着いた声に戻り、少しだけドアを開けると、俺を中に招き入れた。
< 25 / 167 >

この作品をシェア

pagetop