呪い屋〜呪われし幽霊少女〜
まさかのお客
まだ震えの残る指で、なんとか岩崎を指差す。
「な、なんでお前が…」
声まで震えていて情けないものの、そんなことを気にしている場合じゃない。
「岩崎…だよな。
間違いないよな…」
受け入れ難い現実に、逆に落ち着いてくる。
そんな岩崎は、いつも通り控え目な笑顔で微笑んだ。
「ごめんね…
でも、汰一くん嘘ついたんだね…」
そう、少し悲しそうに言う。
「ここへ来る人は、新しい依頼人か、もう依頼済みの人間だけ…
汰一くん、もう、依頼済みなんでしょう?」
立ち上がって俺に向かって歩いてくる。
「…あの時、やめたほうがいいんじゃない?って遠回しに言ったのに…
もう遅かったんだね…」
聞こえるか聞こえないかくらいの静かな声で岩崎は呟いた。
「…そんな…」
俺はただ、受け入れ難い現実に固まるだけだ。
チラリと呪い屋の女を見るも、仮面を被っているため、どんな顔をしているのかは全くわからない。