呪い屋〜呪われし幽霊少女〜
呪いの謎
「汰一くん」
あれから岩崎は弱音を一切吐かず、俺を一生懸命運んでくれた。
いやに人気のない岩崎の家。
そのまま何も言わず、俺を2階の部屋へと引っ張っていった。
「俺は…なんとか大丈夫だから」
もはや死にそうな状況は隠せないのに、無理に強がってみる。
「…大丈夫、私もその辛さは知ってるから」
そう言って、ベッドの脇で俺の額の汗を拭いてくれる。
「血…ベッドにつく…」
情けなくもヒィヒィと息をし、必死に言う。
「夏だから掛け布団かけてるわけじゃないし…
シーツ洗うのは慣れっこだから大丈夫」
何を言っても、岩崎は優しく微笑むだけ。
その笑顔の裏には、どんだけの悲しみが隠れているんだろう。
岩崎は、今までどれほど辛い思いをしてきたんだろう…
岩崎は、何もわからない呪い屋とのことを、今までずっと一人で対処してきたんだ。