呪い屋〜呪われし幽霊少女〜
「…うん」
頭の中で整理しているのか、どこか視点が定まらない状況で頷かれる。
「つまりさ」
俺に視線を戻すと、
「私たち…
依頼した時点でもう、普通の人間じゃなくなっちゃったってことかな」
そう、諦めたように呟く。
「…そうなのかもな」
また一つ楽になった体で、頷く。
「…とりあえず、もう大丈夫だ」
そう短く答えて、
「ほんと、ありがとな」
笑いかける。
岩崎も、それに釣られるように優しく笑った。
「…汰一くん、着替えないとね。
それじゃぁ外出られないでしょ」
思い出したように立ち上がり、ドアノブに手を伸ばす。
「あ…着替えあんの?」
他に兄弟がいるとは思えない。
「…お父さんのでよければ」
ちょっと困ったように言われる。
「いや…
どうせそんな状態じゃ外出られないよね」
俺のまだ微妙に血が流れている上半身を指差すと、
「泊まってっていいよ。
汰一くん、変なことしないでしょ?」
ちょっとからかうようにそう言ってくれた。