呪い屋〜呪われし幽霊少女〜
「…っ…お姉ちゃん!」
涙を光らせ、叫ぶ岩崎。
じゃぁ…こいつは…
「呪い屋か…」
やけに落ち着いている俺がいた。
たったさっき絞め殺されそうになった恐怖から、まだ完全に解放されたわけじゃない。
「お姉ちゃんなんて、呼ばないでよね」
あの事務所にいた時とは違う、敬語の取れた女。
「…お姉ちゃんじゃん…」
嗚咽をもらしながら、涙を流し、岩崎はその場に座り込んでしまった。
「どういうことだよ。
…なんでここにいるんだよ…」
全く岩崎としか見れない女を見据える。
「えぇ、ちょっと話をしたくて」
すまして答える女。
しかし、そんな中になんとなく人間らしさが見えた。
仮面を被っている時こそわからなかったものの、こいつはちゃんと人間だったんだ。
たとえ、今は違うとしても…
一応、人間の心はある。
そんなことを考えていると、
「ま、あなたが私と岩崎さんのこと、見分けつかないことはよくわかりました。
もうこんなことはしないので安心してください」
なんて機会的に言う女。
人間らしいなんて思った俺が、バカだった。
やり方がなんとも卑劣すぎる。