呪い屋〜呪われし幽霊少女〜
そんなことを思っていると…
電話越しに聞こえたガサガサと物を漁る音がパタリと止む。
時間割表を見つけたのかと思い、声をかけようとした。
しかし…
「うあぁぁっ‼︎あぁぁっぁぁぁあああ‼︎‼︎‼︎」
悲痛な叫びが耳をつんざく。
「…雄介?
おい、雄介、どうしたんだよ…」
そう言うも、パッと女の方を見る。
さっきまでのニヤニヤは消え、そのかわり、額に滲んだ汗。
目を見張るも、すぐに意識は電話の向こう側へと飛ぶ。
もはや叫ぶどころでない。
携帯を放り投げたのか、ダンッとものすごい音が聞こえると、そのまま床を叩きのめすかのような音が耳に届く。
「…雄介…?」
聞こえるはずがないのはわかっていても、思わず名前を呼ぶ。
聞こえるのは、掠れとドスのきいた人間とは思えないうめき声。
そして、ダン、ダン、と床に何かを打ち付け、おそらく全身をかきむしっているかのような虫酸の走る音…
「ゔっぁぁぁぁ…
ぁぁぁぁぁああ…」
ただ、そんな音だけが、耳を伝わる。
身震いをし、俺はiPhoneを汚らわしい物でも触るかのように絨毯に叩きつけた。
すると、冷静さを取り戻した岩崎が、すぐさま駆け寄ってきて、俺のiPhoneをひっつかむと、通話を終了させた。