呪い屋〜呪われし幽霊少女〜

思い出さないようにと、なんとか別な方へと意識を向かせていたのに…

あの雄介の叫び声が、耳から離れない。

あわててベッドから飛び上がるようにして起き上がると、俺は下におりていった。

下りきったところで、おそるおそる廊下の方へと顔を出す。

「もうあんなことないから大丈夫だよ」

その声に驚き、声にならない声を上げる。

よく見ると、クスクスと笑う麗奈がいた。

「…なんだよ。
驚かせんなよ…」

自分のビビリ具合に呆れながらも、ホッと胸を撫で下ろす。

「ごめんごめん。
下りてくる音したから、眠れないのかなって思って」

まだ微妙に笑いながらそう言われる。

クスクス笑いを無視し、

「さっきの、忘れらんなくてな」

そう続ける。

麗奈の顔が不安そうなものに変わったのに気づきながらも、

「あいつ死んでねぇよな…」

悪い方向へと考える心の内を明かす。

麗奈はしばらく黙り込んだ後、

「死ぬことはないよ。
多分、もう、あのいき過ぎた腹痛もなおってるでしょうし…」

考えながらも、そう言う。

「でもね、違うんだ」

突然、俺の目をまっすぐ見て言う。

「ダメージを受けるのは、正直言って、体じゃない…」

わずかに苦しそうに顔を歪める。

「精神面の方がひどいの。
さっき、聞いたでしょ…
体から何まで、床に打ち付けてたでしょ…」

麗奈は冷静に、俺が最も恐れていた核心をついてくる。

「自滅するってことか…?」

そう遠回しに言うと、

「オブラートをとると…
自殺ってことになるけど」

ハッキリと言ってしまった。
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