呪い屋〜呪われし幽霊少女〜
大切な人
「...はよ」
いつも通り、普通に登校した俺。
いつも通り教室の自分の机にリュクサックを乱暴に置き、隣の奴に挨拶する。
いやに不機嫌な声に驚いたのか、返ってきたのは危ないものを見るような視線だけだった。
昨夜、麗奈が隣にいたら眠れると思ったけど...
なぜだか妙に緊張して眠れなかった。
...情けない。
朝起きると、
「おはよう、お寝坊さん。
一緒に学校行くと怪しまれるから、私先に行ってるね」
そんな書き置きが、朝食と一緒にリビングのテーブルにあった。
「お寝坊さんってなんだよ...」
ぶつくさと言いながらも手をつけた、おそらく麗奈手作りの朝食。
スクランブルエッグにふわふわなパン。
そして、野菜がたくさん入ったスープ。
ものすごい女子力を感じながら食べた朝食は、とても美味かった。
「さすが麗奈ってとこだな」
そうやって上機嫌で麗奈の家を出たものの、外に出ると、それは一気に消えた。
とてつもなくもわっとした暑さ。
俺に突き刺すかのように降り注ぐ直射日光。
「さすが7月だ...」
もはや癖になった独り言を当たり前のように発し、歩き出す。
途端に寝不足なのを思い出し、俺の機嫌は最悪になった。