呪い屋〜呪われし幽霊少女〜
「…ここだよ」
足を止め、静かに言う。
麗奈が頷くのを確認すると、そのまま、どうぞ、と言って中へ通した。
俺の家はごく普通の一戸建て。
ガチャ、とドアを開けると、
「ただいま」
おそらく和室にいるであろうばあちゃんに声をかける。
「あら、汰一?
早かったんだねぇ…」
予想通り、和室からばあちゃんの声がする。
「おじゃましまーす…」
控えめに言う麗奈。
「あ…気にしなくていいよ。
俺のばあちゃん、そういうのは多分理解あるから」
そう囁くとともに、
「いらっしゃい。
ゆっくりしてってね」
そんなばあちゃんの声が聞こえた。
ちやほやされたり、からかわれたりしたらたまらないって気持ちは多分、俺も麗奈も同じだ。
それを見越して、俺の家に連れてきた。
母さんと父さんは仕事に出かけていた。
靴を脱ぎ、階段を登る。
「汰一?」
途中、ばあちゃんが話しかけてくる。
「今日、朝早くに一回帰ってきたでしょう?」
途端にギクリとする。
バレていないつもりだった。
まさか、ばあちゃんに気づかれていたなんて…
「いや…
たしかに一回帰ったけど…」
語尾を濁す。