呪い屋〜呪われし幽霊少女〜
朝、俺は麗奈の朝食を食べてから大急ぎで家に戻った。
幸い駅の近くだったため、麗奈の親父から借りた微妙な服を着たまま、俺の家の近くの駅まで電車に乗った。
俺の家は麗奈の家から2駅離れていたため、そこまで遅刻を心配するような時間にはならなかった。
そう考えると、麗奈はずいぶんと早く学校に行ったんだろう。
「服取りにきたの?」
そう穏やかに尋ねるばあちゃんに、
「うん。
泊まるのに、服忘れてったから」
無愛想に返す。
麗奈に先二階行ってて、と合図すると、俺は階段を下り、ばあちゃんの元へと戻る。
「あの…
それだけだから」
襖を開け、わずかに顔を覗かせて言う。
「別に何か疑ってるわけじゃないんだよ。
だた、汰一のことが心配でね…」
悲しそうに微笑むばあちゃん。
きっと、何か気付いてるんだろう。
俺のことをずっと小さいころから本当に可愛がってくれていたばあちゃん。
俺も俺で、すごい尊敬してたし大好きだった。
だからこそ今、この悲しそうなばあちゃんの目は見てられない。
でも…
全て話せば、確実に俺はまた呪い返しを受ける。
それも、あの約束事にはっきと明記されていることを破るなんて…
とんでもないことのように思えた。
きっと、昨日のように全身から血が吹き出、流れ出すどころではなくなる。
もっと恐ろしいことが待ってる気がした。
「…ごめん」
決心が固まってもまだばあちゃんの目を見られない俺。
「…行くから」
そう小さく呟いて。
そっと襖を閉めた。