呪い屋〜呪われし幽霊少女〜

「藤堂さん」

まだ体は吐きたりないのか、咳き込みながらも必死に顔を向けようとする俺。

「やめられたらいいんです。
終わりにしようと思ってもできないんですよ…
あいつがいる限り」

麗奈と同じ声で告げられるも、その声に含まれた悲しみは尋常じゃなかった。

「あいつって」

少し吐き気はおさまり、やっとの思いで下を向きながらも問いかける。

「あなたたちのことが見えも聞こえもしないあの男ですよ…
人間離れした容姿の持ち主の」

「ちょ…う…ど…いい…
俺も…その話…ゲホッ…聞きたかったんだ…」

息絶え絶えに途切れながらも俺の意思を伝える。

あの男は普通の人間じゃない。

雰囲気からして、きっとそうなんだ。

麗薇が、教えてくれようとしているんだ…
< 94 / 167 >

この作品をシェア

pagetop