呪い屋〜呪われし幽霊少女〜
「座ったらどうです?」
3つある椅子を指差し、麗薇がそこに向かって歩き出す。
やっと俺の体も満足したのか吐き気はおさまってくれた。
そんな俺を麗奈が優しく引っ張ってくれる。
「あの男は…
なんで見えないんでしょうね、あなたたちのことが」
ズズッと椅子を引きずる音が鳴り、俺も麗奈も腰を下ろす。
「どういうことだよ…
麗薇、知ってんじゃねぇの?」
いつのまにか普通に喋れるようになっていた。
そして麗薇も、全くいつもの通りと変わらない状態にまで回復したようだ。
やはり、あの手と呪いの相手が繋がっていて、邪気が吹き込まれているのか…
想像したくもない。
「邪気、見たでしょう」
ちょうどよくそんなことを聞かれる。
「もちろん。
それで吐いてんだよ…」
初めて会った時よりもだいぶ丸くなったと感じてしまうがために、麗薇にぶっきらぼうな返事をしてしまう。
でもあんまり気に障るようなことしたらまたぶっ飛ばされる。
「いいですよ、別に。
もう怒りませんから…」
俺の心境を察したのか、面倒臭そうに言う麗薇。
「麗薇ももう堅苦しいの嫌になった?」
麗奈もおかしそうに問いかける。