私と彼と――恋愛小説。
六章
枕の下に隠した携帯のアラームで慌てて起き出す。


明るい中で寝起きを見られるのは流石に恥ずかしく、頭の下にある佐久間の手を刺激しない様に、そっとベッドから抜け出した。


ベッドの下に脱ぎ捨てられた下着やニットが昨晩の行為を思い出させる。


静かにそれを拾い集め、寝室から出る。佐久間はまだ幸せそうな寝顔で寝息を立てていた。


急いでシャワーを浴び、近くのコンビニへ走る。空の冷蔵庫では朝食も作れない。取り繕うみたいな行為でも、あまりにみっともない処は見せたく無い。


「おはよう、加奈子ちゃん」


静かに開けたリビングの扉から、ソファーに座る寝ぼけまなこの佐久間が見えた。


今にも閉じてしまいそうな目を無理やり開いて微笑み掛ける佐久間を…可愛いと思ってしまう。


「おはようございます。珈琲淹れます…これ使って下さい」


パンと卵と牛乳と――一緒に買った歯ブラシを佐久間に手渡した。


「ありがとう…何だか嬉しいなぁ」


満面の笑みで佐久間が呟いた。
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