私と彼と――恋愛小説。
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私にとっても…佐久間にとっても慌ただしい季節が過ぎていた。あっと云う間に気候だけは穏やかな春をバタバタと過ごし、バカンスも取れない夏を時折映画の撮影現場に顔を出して過ごす。
佐久間は相変わらず休みも無く仕事や映画に忙しく関わっていた。
偶に喧嘩もしたり、あれほど醒めた目で見ていた街中のカップルみたいにはしゃいだり…
佐久間も私も待っていた時が漸く訪れたのは、クリスマスの近い12月の後半だった。
何度か訪れた事のあるビルの前に立つ。私の手には監督の好物の老舗和菓子屋のお饅頭がぶら下がっている。
「お邪魔します…」
出来るだけ静かに編集室のドアを開ける。
シンとした室内で新庄監督の声がスタッフへ向けられた。
「お疲れ!お前らはそこまでで良いよ。御苦労さん、無理させたな」
私にとっても…佐久間にとっても慌ただしい季節が過ぎていた。あっと云う間に気候だけは穏やかな春をバタバタと過ごし、バカンスも取れない夏を時折映画の撮影現場に顔を出して過ごす。
佐久間は相変わらず休みも無く仕事や映画に忙しく関わっていた。
偶に喧嘩もしたり、あれほど醒めた目で見ていた街中のカップルみたいにはしゃいだり…
佐久間も私も待っていた時が漸く訪れたのは、クリスマスの近い12月の後半だった。
何度か訪れた事のあるビルの前に立つ。私の手には監督の好物の老舗和菓子屋のお饅頭がぶら下がっている。
「お邪魔します…」
出来るだけ静かに編集室のドアを開ける。
シンとした室内で新庄監督の声がスタッフへ向けられた。
「お疲れ!お前らはそこまでで良いよ。御苦労さん、無理させたな」